今週の一冊は
いまどきの「常識」
香山 リカ (著) 岩波新書発行
2004年に長崎県と兵庫県で、それぞれ3,000人以上の小中学生を対象にした「生と死」の意識調査が行われたそうです
長崎では「死んだ人が生き返ると思いますか?」の問いに対して「はい」と答えたのは小学4年生が14.7%、6年生が13.1%。中学2年生になると18.5%に上昇しているらしい
兵庫県でも結果はだいたい同じで
「人は死んでも行き返えれるか」という質問に小学校5年生から中学2年生までの10%が「生き返る」、13%が「たぶん生き返る」と回答しています
「自分は死ぬと思うか」との質問には、16%が「死なない」「たぶん死なない」と答えている
そのように思う理由を聞くと
「誰かが言っていた」
「TVで話している人がいた」
「デームではリセットできる」などお答えがあったとの事でした
映画でも
「いま、会いに行きます」や「黄泉がえり」など死者が一時的に(一定期間)生き返るという物がヒットしました
しかも、対象が若年層とし観たり本を読んだりした事が特徴だと思います
何故か少しずつ意識の変化があるのだろうと思わざるを得ない
【目次】
1
自分の周りはバカばかり――人間関係・コミュニケーション篇
「あの人はバカ」と言う自分はバカじゃない/世界の中心は自分/悪いのは私ではない/涙が切り札/少年事件には厳罰を
2
お金は万能――仕事・経済篇
結局、お金がものをいう/現実には従うしかない/自分らしい仕事をしよう/ゆっくりした、ラクしたい
3
男女平等が国を滅ぼす――男女・家族篇
男は男らしく、女は女らしく/結婚しないと幸せになれない/三世代家族が子どもを守る/不倫は文化だ/ゆとり教育は失敗だった
4
痛い目にあうのは「自己責任」――社会篇
すべては「自己責任」の結果/「偉い人」には逆らうな/競争には勝たなければいけない/病気も障害も「負け組」/インフォームド・コンセントは患者を救う
5
テレビで言っていたから正しい
ノーテレビデーで子どもを守れ/B型人間は自己中心的/人は死んでも生き返る/外国人は危険
6
国を愛さなければ国民にあらず――国家・政治篇
「平和」や「反戦」にとらわれるのは頭が古い証拠/ナショナリズムは普通で健全で自然/何よりも「国益」優先/過去にこだわるな/軍隊を持ってこそ「普通の国」だ/テロに屈するな/平和のためなら死んでもいい
本書は、様々な社会現象や言説から、いま世間に流通している「常識」を浮き彫りにし、それが「常識」となっている背景、そこから見える人や社会の問題などを鋭く分析しています。
著者の香山リカさんは、現代人の心の問題を中心に、社会的テーマについて、様々なメディアで発言を続けています。
岩波新書『若者の法則』(2002年4月刊)では、一見、理解不能な若者たちの行動の背景を、わかりやすく解きほぐし、多くの読者から好評を得ました。
本書でも触れていますが、香山さんが公開討論に出演した時に、「平和」という言葉を口にしただけで、周囲の空気が一瞬にして「凍りついた」そうです。
しかも、テレビ番組では、「平和」以外に「反戦」「人権」「平等」といった言葉を口にすると、テレビ局に抗議の手紙が来るとのこと。
「キレイゴトを言うな!」と。
「戦争はいけない」という言葉は叩かれ、「武器をもて!」「戦争も手段の一つだ!」といった「勇ましい」言葉は、熱狂的に支持される。
どこか"ヘン"ではないでしょうか?
本書には、30ほどの「常識」が登場します。これらの「常識」を目にして、読者の方々はどう感じられるでしょうか?
「こんなの当たり前だよ。何がいけないの」と感じる方。
あるいは「こんな常識がはびこる社会は違和感がある」と感じる方。
もし、あなたが後者だとすると、「負け組」の道に一歩足を踏み入れています。
どうかご注意を。
香山リカ(かやま・りか)
1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。
現在―精神科医、帝塚山学院大学教授。
著書―『若者の法則』(岩波新書)、『10代のうちに考えておくこと』(岩波ジュニア新書)、『憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言』(共著、岩波ブックレット)、『テレビゲームと癒し』(岩波書店)、『就職がこわい』『結婚がこわい』(以上、講談社)、『生きづらい<私>たち 心に穴があいている』(講談社現代新書)、『<私>の愛国心』(ちくま新書)、『<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』(筑摩書房)、『ぷちナショナリズム症候群』(中公新書ラクレ)、『NANA恋愛勝利学』(集英社)ほか多数